メルカリおばちゃんと呼ばれたくて

「最近メルカリおばちゃん来ないね。どうしたんだろうね?」

 

大阪府北部、とある住宅地の一角にあるコンビニエンスストア。

夜の10時。

会社帰りの大人達の対応を終えて店内は落ち着いたところ。

大学生アルバイトスタッフY美とS子の会話である。

 

そう。

あのおばちゃんは毎晩この時間にやってきていた。

いつも手に荷物を一つだけ持って。つい先日までは。

 

「メルカリおばちゃん、体調悪いのかな?」

「いや、たぶん終活の断捨離、終了したんやと思うよ」

「だいぶ毎日通ってはったもんなぁ」

「メルカリおばちゃん、頑張りはったなぁ」

 

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上記の会話は妄想です。

 

「メルカリおばちゃんと呼ばれたいの」

そう意気込んでいるのは、わたしの母。

 

母は一人暮らし。今年還暦を迎えた。

最近、終活に興味が出てきたそうだ。11月には、同じく一人暮らしの友人と辛坊治郎さんが参加する終活フェスタに参加するのだとか。

 

おしゃれで美人な自慢の母。

素敵なお洋服やバックを沢山持っている。

けれど、もう使わないから就活のためにも断捨離する、と最近メルカリにはまりだしたのであ~る。

先述の友人が先に始めて刺激を受けたそうな。

 

先日初めて出品商品が落札されたそうで、慌ててわたしに連絡がきた。

 

「メルカリ 売れたんだけど 手続き分からないねん」

 

あいにくすぐに対応できなかったわたし。

 

時間が経ってから、

大丈夫だった?と連絡すると、

 

「コンビニ お姉さんに教えて貰いながら 発送できました✌」とな。

 

お客さんが少なくなった時間帯を見計らって、荷物を持っていったそうな。忙しかったら邪魔になっちゃうでしょ?と。

 

 

母「たびたび持っていったら、”またあのメルカリおばちゃん来たね” って言われそう」

わたし「コンビニスタッフの中で話題になるくらいに売れたらすごいやん」

母「言われるように頑張るわ」

二人「そやね、なんかいいね。メルカリおばちゃんって(^^) あはは~」

 

 

”メルカリおばちゃん” と呼ばれるのを目標に、今日もまた出品のため、スマホに向き合う母。私のガイダンス無しに出品できるようになりました。

 

一度に出品したら良いのに、

一つ売れたら一つ出品。

一つずつするのが母流らしい。

 

 

「ゆかえ達に迷惑かけられないから」

と、母は言う。

動ける60代のうちに終活しておかないと、と。

 

そんなに急いで身辺整理しなくてもいいのに、と思うけれど。祖母の時の経験から、自分は早くから片付けておこうと決めたそうです。

 

母が楽しんでメルカリをしているので、これからも応援しています。

メルカリおばちゃんと呼ばれる、その日まで。

 

 

お母さん、いつもありがとう。

元気に生きててくれてありがとう。

そして、私を産んでくれてありがとうございます。

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本日私の誕生日。

母への感謝をこめて。